たった一人の親友へ〜another story〜
その夜


さなはずっと俺の話しを真剣に聞いてくれた


どんなに俺が情けないことを言っても


さなは嫌な顔一つせず聞いてくれたんだ




「俺、もうさなだけでいいや」




心の底からそう思ったんだ


今思えば


この言葉は俺の人生の中で


初めて素直に自分の気持ちを伝えた


最初で最後の言葉だったのかもしれない





それでも俺の頭の片隅では


ゆいの泣き顔と笑顔がちらついて


離れなくて




俺はどうしようもないよ


自分で自分のことが分からなくて


自分が一番傷つかない方法を選んで


相手を傷つけて




なぁさな


俺は君を利用してることになるのかな


苦しいけど


どうしていいか分からないんだ


好きだけど


大切にしたいけど


その方法が分からない


君の温かい微笑みを見て


ふと


そんなことを思ったんだ
< 119 / 220 >

この作品をシェア

pagetop