たった一人の親友へ〜another story〜
当日


待ち合わせの三時間前に起きた俺


遠足前日の子供みたいに興奮して


あまりよく眠れなかった


待ち合わせ場所に着くと


そこにはもうさながいて


「翔!」


満天の笑顔なんかで手をふってくるから


そんなことされたら


色んな意味で期待しちゃうじゃんか


海に着くまでの電車の中は


何だか変に緊張して上手く話せなかった


言うこと全部が空回りしているようで


格好悪いとこ見せたくなくて


ちょっと


いや


かなりカッコつけて


平静を保とうとしていた


そんな俺を見て誤解したんだろう


「翔…
何かあたし無理矢理誘っちゃってごめんね
翔部活で疲れてるのにね」


「え?
いや…平気だよ」


普通に焦った


これってもうすでに空回ってねーか?俺


しゅんとして一切話さなくなったさなの目には涙が溜まって


どうしていいか分からなくなった俺は


「ごめん」


ただ謝ることしかできなかったんだ
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