たった一人の親友へ〜another story〜
卒業式が終わった後


いつもの四人で俺の事務所に泊まって


夜まで騒いだ


和歌子とけんたは騒ぎすぎて疲れたのか、先に夢の中へ


俺はさなを真夜中の散歩に誘うことにした


「寒い〜。
手袋持ってくれば良かったなぁ…」


そんな小言を言うさなの右手を


俺は自分の左手でそっと包んだ


途端にびくっと震える手先


“今日で終わりにするから”


そんな思いを抱いきながら


家への帰路へと向かった
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