たった一人の親友へ〜another story〜
新しい出会い
高校の入学式は思ってたよりあっけないものだった


クラスの何人かと適当に仲良くなって


何人かの女の子とメアド交換して


こんなにつまんねーもんなのか?
さなや和歌子やけんたを思い出すと、味気なくて


少し憂鬱だった




休み時間になるとうちのクラスには女子が集まる


目的はずばり俺


“翔くんってかっこいいよねー?”


そんな会話を耳にするたび、何となく優越感に浸っていたのが正直な気持ち


その日もいつものようにクラスの女の子と話していると


その中の一人が突然友達を呼んだ


「ゆいもこっち来なよ!」


ゆいと呼ばれた子はこっちを向いて
「興味ないから」と一言


友達はばつが悪そうに「あの子愛想なくてごめんね。」なんて苦笑いしてたけど


俺は呆気にとられてた


だってそこには“さな”がいたんだから


ゆいという名の


さなが




これがゆいと俺の小さくて


大きすぎる出会い
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