ガラスのタンポポ#虹
「さぁて、今日は何の日でしょう!」


「んー…。6月…6月…。祝日もねぇし…。何の日だ?」


「フフッ…。あのね、今日は初めてあたしと翔くんが出会った日!」


「…そうか。あれからもう1年なんだ」


そう言ってオレは笑う。


うすっぺらいかもしれない。


それでも花音の前で笑わなければならないのは。


秋から春にかけて別れてしまった記憶を、花音に呼び戻したくないから。


今日は。


とびっきり楽しい1日を。


オレのせめてもの償い。


「ね、箱、テーブルの上に置いてくれる?」


「了解」


白い箱をテーブルの上に置き、蓋を開けると、夏の始まりらしい季節のフルーツをふんだんに使ったムースやゼリーが並んでいた。
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