ガラスのタンポポ#虹
夏の音楽を聴きながら向かう、海。


空に海の青が反射された頃、太陽がより一層輝いた。


「アチー」


エアコンMAX、湾岸線の人の数MAX。


「わぁ♪海だー!」


駐車場を見つけるのに時間がかかったが、ようやく海、着。


後部座席から車椅子を降ろし、花音を乗せた。


車輪が砂にはまるから、砂浜には出られない。


海沿いのコンクリートをゆっくり車椅子を押しながら歩くだけなのに、花音は超ハイテンションで、光を写す水平線に目を細めては、オレを見上げて笑う。


その笑顔が去年の夏の奏来と重なって、オレはどうしようもなく胸がザワついて。


2人でかき氷を食べても。


やきそばを半分コしても。


花音はここにいない奏来。


型の違うピース。


でもオレはそれでかまわない。


花音=奏来


オレの中の方程式は変わらない。


恋しいのは奏来。


好きなのは奏来。


目の前にいる花音がオレには見えない。
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