ガラスのタンポポ#虹
店を出て手を繋いでタクシーに乗った。


繋いだ手がちょっぴり熱く感じるのは、オレの手に体温が戻ったからなのか、花音の微熱のせいなのかわからない。


今更だけど、この左手の持ち主を大事にしたい、そう思えた。


どんなに傷つけてしまったか。


それを消す事はできないけれど、新しい心のキャンバスを用意して、少しずつ色を乗せていこう。


きれいな色ばかりじゃなくてもいい、オレと花音の絵を作ろう。


償いではなく、恋を。


オレは花音に恋をしよう。


抱き締めよう。


心からのキスをしよう。


いつか、きっと。


救われるのは、守られるのはオレの方じゃなく、花音を。


オレが支えられるように。


いつかきっと、な…?
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