傘恋愛 -カ サ レ ン ア イ-
「助かる!いやぁ、こんなこと奏汰にしかお願い出来ないもんな!」
出来れば断りたい。
だが、何だかんだでこの人の性格は理解してる。
それにどうせ俺、暇だし。
「お前ももう27だろう?そろそろ女作ろうと思わないのか?」
エプロンを付けながら、マスターがそう言う。
「26です」
「あ、そう?ごめんね」
マスターはハハハと笑って奥に消えた。
そりゃ俺だって付き合ったことの一つや二つ、あったけれど。
名前も思い出せないぐらいどうでもいい恋愛だった。