恋歌 〜secret love〜
「そういえば、奏の作った曲のアレンジを考えてみたんだけど……」
突然、思い出したみたいに六濱君くんが口を開いた。
あたしが作った2曲目のアレンジをしてくれてるのは、六濱くん。
細な作業は六濱くんに任せるのが1番!
……なんだって。
六濱くんの見た目からは、繊細の“せ”の字も想像できないんだけど……
なんて言ったら、失礼かな?
「どんな感じにしたんだ?」
「あぁー……簡単に言うと、何もしてない」
「は?」
さらっ、とわけのわからないことを言った六濱くんに、勇人が気の抜けた返事をした。
「シンプルな感じにしようと思ってな。曲と歌詞を、そのまま引き立てるようなアレンジにした方が良いと思って。
だから、俺達の演奏自体は静かめにして、奏を支えるような雰囲気にしてみた」