恋歌 〜secret love〜
「奏ー! 準備できたぁ?」


「う、うんっ! 一応……」


「おっけー。じゃあ、教室行くわよ」



少し低めの彩乃の声に続いて、あたしはドアを開ける。



ちょっと格好悪いけど、ここは女子トイレ。



体育の時に使う更衣室は違うの建物にあるし、遠い。

かと言って、全部の教室がクラス企画に目一杯使われてるから

空き教室で着替え……ってわけにもいかなかった。



「奏!似合うじゃない!
やっぱり、メイド服は奏みたいに背が低くて、童顔の子の方が似合うわよねぇ……」



片手を顎に当てながら、彩乃がしみじみ言う。



「何言ってるの? 彩乃の方が似合ってるから!

勇人なんか、あまりの綺麗さに失神しちゃうんじゃない?」



からかい気味にそう言うと、彩乃に「馬鹿なこと言わないで!」と頭を叩かれた。



でも、スカートから出たすらっとした足も

整った大人っぽい顔立ちも


全部が本当に綺麗で、服の良さを引き立ててるみたいだ。



……何か、注目してるとこが変態みたいだけど。
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