恋歌 〜secret love〜
「……っ!…………はぁ。間に合ったか」
ガラッと開けられた教室のドア。
その先には、頼城先生が立っていた。
真冬なのに袖をめくった状態の黒いスーツ。
少し切れた息。
小さく上下する肩が、急いで来たことを表してるみたいだった。
「どうしたんですか? 先生……」
「いや、会議が終わって時計を見たら、もうこんな時間だろ?
今日が試験前最後の平日だからな。
少しでも奏と話ができたら……と、思ったんだよ」
息はだいぶ整ったらしい。
ゆっくりと歩きながらそう答えた頼城先生を見て
あたしは緩みそうになる頬を必死で引き締めた。
「どうだ? 小論は」
「あ、はい。
とりあえず、過去問3題と、先生に言われた問題集は1冊やり切りました」