恋歌 〜secret love〜

「前に寄った公園だろ? 保護者の方に、少し遅くなるって連絡しとけ」


「え?」



不思議に思って首を傾げると、先生が「早く」と、あたしを促した。



もうすっかり暗くなった公園の駐車場には、他の車がいない。


遊具で遊ぶ子どもの姿だって見えない。



ぼーっと考えながら、とりあえず母親に帰りが少し遅くなるとメールする。



ブレザーにケータイを落としたあたしを見届けながら、先生が天井に手を伸ばしてライトを付けた。



「これ……卒業と合格祝いに」



そう言って、先生はいつの間にか手元に持ってきていたコンビニのビニール袋から

透明の丸いカップを取り出した。



「チーズケーキ……?」


「あぁ。最近のコンビニって凄いんだな。

チーズケーキもいくつかあって迷ったんだが……」


「無駄に大きいのとか、デコレーションがすごいのとかありますよね」


「あったな……。食べてて気持ち悪くならないのか?」



ライトがあるおかげで、先生の表情がよく見える。


眉間にしわを寄せた先生は、首を傾げながらまたビニール袋に手を入れた。



「飲み物、これで平気か?」


「はい……」


ドリンクホルダーに差し込まれた、ストローを差し込むタイプのカフェラテのカップを眺める。


先生はその隣に、同じシリーズのエスプレッソのカップを置いた。



「どうしてですか? これ……」
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