恋歌 〜secret love〜
「お弁当箱はいつでも良いからって……」



彩乃から来たメールを見て、また大きく息を吐く。



卒業して、受験も終わった今

頼城先生に会える機会は、もうほとんど……てゆーか、ない。



大学が東京なんだから尚更だ。



だから、お世話になった先生と……


……ずっと好きな人と


こうやって2人で過ごせることは、すごく幸せなことなんだと思う。



でも、この状況は、やっぱり心臓に悪すぎる……!



それに、いろいろ卒業しなくちゃとは思ってるけど

最後にこんな幸せな時間を知っちゃったら、本当に離れるのが辛くなっちゃうから……――――



「待たせて悪いな。道、怪しいから案内頼んでも良いか?」



ぐるぐる悩む頭にガチャッと大きな音が飛び込んできて

すぐに、先生が車に乗り込んできた。



少し大きめの白いコンビニの袋を、運転席の後に付けられたフックに引っ掛けてる。



少し近くなった距離に1人でどきっとしながら、あたしは「はい」っと呟いた。


「ちょっとここ寄るぞ」



順調にウチへ近づいていた時、先生がそう言ってウインカーを出した。



「ここって……?」
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