初恋の行方〜謎の転校生〜
「悲しいのか?」

「それは……」

「戻らないかもしれないよ。というか、戻れなくなるかも……」

「それって、柏木君が家を出ちゃうって事?」

「そう。お袋さんからはやめてくれって言われたけどな」


「柏木君は家を出たいの?」

「今のままならな」

「今のまま、って?」

「それは……あんまり言いたくない」


そこで会話は途切れ、車の中は重い空気に包まれてしまった。



「ユキちゃんって可愛いね?」


雰囲気を変えたくて、明るい声で私がそう言うと、柏木君は私に顔を向け、「だろ?」と言って、ニッコリ微笑んでくれた。


「お袋さんも、ユキは甘やかさないようにしてるみたいだけど、本当は可愛くてしょうがないんだよ。孫みたいな感覚なんだと思う」


「孫って、あんなにお若いのに?」


「ユキと、俺や悠人との歳の差を考えれば、そんな感じになるんじゃねえの?」


「なるほどね。お祖父様もユキちゃんは可愛いでしょうね?
本当の孫なんだから」


「祖父さん? それはどうだろう。祖父さんはユキに会った事ないからな……」


柏木君はそう呟くと黙ってしまい、また会話が途切れてしまった。


柏木君のお祖父様とお母様って、まだ仲直りできてないんだ……


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