初恋の行方〜謎の転校生〜
「お父さんかしら」と言って母は立ち上がり、玄関へ向かった。


私は手の甲で涙を拭き、お寿司を食べ始めた。


「ただいま」


やはり父だった。


「お帰りなさい」

「おお、今夜は寿司か」

「私の帰りが遅かったから、駅前で買って来たの」

「そうか。あれ? 美咲、おまえ泣いてるのか?」

「ち、違うよ。ワサビが目にしみただけ」

「なんだ、そうか」


そう言いながら父は椅子にドカッと腰を降ろした。コートを着たままで。


「あなた、着替えないの?」

「その前に話したい事があるんだ。美咲の事で」

「え?」


私はお箸を持つ手を止め、父の顔を見た。父は難しそうな顔で私を見ていた。


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