初恋の行方〜謎の転校生〜
「じゃあ、誰? 名前は? クラスは?」


なおも食い下がり、私に迫る佐藤君に対し、私は後退りながら、


「この高校の人ではないんです」


と言うと、


「じゃあ、どこの高校?」


と聞かれたが、私には答えようがなく、「本当にごめんなさい。さようなら」と言って、佐藤君に背を向け駆け出した。


中庭に出たところで、校舎の入口付近に横付けされた黒塗りの車が目に入った。


そして、そこから出て来たらしい若い男女が、校舎に向かって歩く後ろ姿が見えた。


私はその内の男子の方が一瞬気になったけど、佐藤君が私を追い掛けて来ているかもしれないので、足を止める事なく校門の外まで走り続けた。


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