初恋の行方〜謎の転校生〜
「あの……、川島さんには好きな人がいるって、本当なんですか?」


不意な質問に私が「え?」と聞き返すと、


「そんな噂が流れてるから……」


と言いながら、佐藤君は探るような目で私を見つめた。


そう言えば、以前に男子から告白された時、やはりお断りをしたのだけれど、その理由をしつこく聞かれて「好きな人がいるから」と、言ってしまった事があった。たぶんそれが“噂”の元なのだろう。


「誰なんですか? 川島さんが好きな男って……」


「それは……」


私が言い淀んでいると、


「本当はそんな奴、いないんでしょ?」


佐藤君はそう言うなり、両手で私の肩を掴んで迫ってきた。


佐藤君の急変に私は焦り、その手を振りほどいて「本当です!」と私は叫んだ。


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