初恋の行方〜謎の転校生〜
「柏木君って強いのね?」


「はあ? 何がだ?」


柏木君は手を止めずにそう言った。


「だって、一人で三人もやっつけちゃうんだもん」

「ああ、あれね。あいつらが弱すぎなんだよ」

「そうかなあ……ひゃっ」

今度はお腹に貼ってもらった所が冷っとした。


「まあ、俺はガキの頃から空手と合気道を習わされたからな」

「うわあ、凄いのね?」

「そんな事はないさ。祖父さんに無理矢理やらされてただけだし。でも役には立ったかな」

「あ。私、助けてもらったのに、お礼も言ってなかったね?
ごめんなさい。そして、ありがとうございます」

「礼はいらない」

「え?」


柏木君は手を止めると、真剣な顔を私に向けた。


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