One STEP



さっきまでの琴子とは別人みたいな声だった。


まるであたしが先輩に言われたことを分かっているような。



あたしは俯いてしまう。


顔なんて上げられるはずがない。




あたしが…演劇部に…?


本気で…何かをやってみる…?



とても考えられなかった。


そんな自分想像もできない。



本気でやる。


それがどんなことなのか、あたしは分かっていない。



「自信がないんでしょ?」



あたしは弾かれたように顔を上げる。



〝結局やりたくないんじゃなくて、できないんでしょう?恐いんでしょう?自分に自信がないんでしょう?〟



あの先輩の言葉が頭に響く。


反響して…



ぐるぐるぐるぐる。



忘れない。


忘れられない。



あのとても冷たい声。



胸を突き刺した言葉の数々。



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