One STEP
「ハァ…っ、先輩っ!」
なんとかして、先輩の腕を掴む。
先輩はやっと足を止めた。
恐い。
なんて言われるか分からない。
前みたいに、いろいろ言われるかもしれない。
でも…でも、あたしは前に進まなきゃいけない。
「離して」
「嫌ですっ…あたしの話を聞いてください」
風が吹く。
先輩の透き通りそうな茶色い毛が揺れる。
綺麗だと思った。
寺原先輩とは違う、間逆の綺麗。
寺原先輩の言うとおり、この先輩は悪い人に見えない。
芯がしっかりしてて、崩れないような。
どこか、自分と似ている気がした。