One STEP
「あ…あたし、ちょっと行ってきます!」
逃げるのはやめたはず。
前にだけ進むと決めたはず。
あたしはもう、何からも逃げない。
部室を飛び出して、3年昇降口へと向かう。
まだいるはず。
そんなに速く走れないけれど走った。
今はあの先輩に伝える言葉が、ここにある。
あたしが心を開かなくてどうする。
あたしもきっと、琴子みたいにできるはず。
〝チャレンジ、挑戦〟
「松下先輩っ!!」
静まり返った廊下に響く、あたしの声。
あたしは先輩の背中目掛けて声を発する。
だが先輩は止まるどころか、スピードアップした。
なっ…!!
あたしは足が縺れないように、必死で先輩の後を追う。