One STEP



お姉ちゃんはそんなあたしを見て、面白そうにもっと詰め寄ってきた。



「それでそれで?」



目、キッラキラ。


その目は一体何なんだ。



あたしはお姉ちゃんの目を見ないように、味噌汁を口に含んだ。



「それでって…?」



横目でお姉ちゃんの表情を伺う。



なんとかしても気づかれないようにしないと。


絶対バレないように…!!



嫌な汗が手のひらに溜まる。


一筋、たらりと背中に流れる。



「だ・か・ら!演劇部に入ったのかって聞いてるの!」



「………、」



バっと顔を背け、何もないように再び口の中にご飯を詰め込んだ。



言えない言えない言えない!!


入ったなんて絶対言えない!!


口が裂けても言えませんよ!!



けど生憎、あたしの脳内に〝誤魔化す〟というスキルは存在しないらしい。


良い言葉がなかなか見つからない。



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