One STEP
力強く一歩を踏み出す。
ゆっくりと顔を上げる。
照らされるライトが眩しくて、観客が見えない。
あたしは目を細めた。
いける。
あたしは大きく息を吸い込んだ。
『今日から高校生だーっ!』
言った瞬間、急に視界が晴れた。
鮮明になった。
あたしの目の前は、溢れんばかりの人人人。
大勢、なんて言葉じゃ表せないくらいの人だった。
鳥肌が立った。
こ…こんなに…
弱さがジワリジワリと這い上がってくる。
蝕むように。
連れ込むように。
しかしあたしは臆することなく台詞を続ける。