One STEP




「なにもかも面倒くさがってたら始まらないんじゃないかな?」



あ、これ自分自身に言いたいわ。なんて笑うお姉ちゃん。



面倒くさがっていたら、何も始まらない…。



確かに、あたしは面倒くさいものには全て蓋をしてきた。



面倒だ。


そんな気持ちだけで、いくつもの事を投げ出してきた気がする。



それが一番簡単だったから。


辛い思いをしないと思ったから。



「そう…かもしれないね」



いい加減、あたしは〝努力〟をしてみないといけないのだろうか。


このままじゃダメなのかな。



お姉ちゃんは立ち上がって、あたしの頭をガシガシーと乱暴に撫でた。



「っ?!」



「もうそろそろ自分の殻を壊して飛び出してみてもいいんじゃない?」



自分の殻…飛び出す…。



「入るか入らないかは別にしてさ、見に行くだけ行けばいいじゃん?そして、その時の素直な気持ちをその先輩たちに言えばいいんじゃない?」



自分の素直な気持ち。


それを素直に言うだけ。



たったそれだけ…のこと?



やはりお姉ちゃんに相談すると心が軽くなる。


最初はやめておけばよかったと思ったけれど、結果的には相談して良かったと思った。



「うん、見に行ってみるよ」



少しだけでも見方を変えてみようかと考えた瞬間だった。




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