One STEP
先輩とあたし

特別な声





「明日だよっ♪あっしたぁ~♪」



琴子はスキップをしながら鼻歌を歌う。


朝から元気だなぁ、とあたしはその数歩後ろを歩いていた。



明日に迫った演劇発表会。


それが楽しみで、琴子はこんなハイテンションなのである。



ちなみに琴子から聞いた話によると、この高校の演劇部はかなりスゴイらしい。


なあなあでやっているような中途半端な部活ではないことが分かった。



ただ純粋に演技をする演劇部の方々。


かなり本物らしい。



体育館に入りきらないほどの生徒や先生、そして地域の方々も来るんだって話。


だから文化祭とか大きな行事じゃないときでも一般入場ありになっているんだとか。



きっと明日もスゴイんだろうと予想できる。



そんなチョー凄い演劇部にあたしが入る?


笑わせないでほしい。



冗談にもほどがある。


あたしが出た瞬間、今までの凄さを崩してしまうのは確実だ。



あたしは人に迷惑をかけるのが嫌だ。


迷惑をかけてしまうなら最初からやらなければいい。



それだけの話。



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