《短編》切り取った世界
『何やってんの?弘樹くん。』
瞬間、声に驚いて顔を向けた。
そこに立っていたのは、明るいブラウンの髪の毛を綺麗に巻き、
上目がちに俺を見上げる女。
「…誰?」
『あははっ!明日香よ!
さっき自己紹介したじゃない!』
“やっぱり聞いてなかったんだ!”と言って彼女は、クスクスと笑う。
どうやら、あの中に居た女のひとりみたいだけど。
『弘樹くんって、S高行ってた佐久間弘樹でしょ?』
何も言わない俺に、“明日香”と名乗った女は質問を投げかけてきて。
ため息を混じらせ俺は、足元に視線を落とした。
『M大とのコンパって言うから、あんまり期待してなかったけど。
まさか、佐久間弘樹に会えるとは思わなかった♪』
そう言って明日香は、嬉しそうに俺の腕に自分の腕を絡めた。
瞬間、フワッと香る甘いばかりの香水の香り。
『ねぇ、優等生なのに昔は相当遊んでたんでしょ?
有名だったわよ?
でも、何で大学入って大人しく―――!』
「うるさい。」
睨みつけ、体を反転させて壁に明日香を押し当てた。
驚いたように戸惑いがちに見上げる明日香の唇を、強引に塞いで。
「…俺、もぉ抜けるから。
アンタも来たいんなら来れば?」
言葉だけを残し、目を見開いたままの明日香を尻目にさっさと歩きだした。
甘ったるいほどの香水の香りが、鼻についたように残って。
早足で歩く俺の後ろから、小走りな明日香が靴音を響かせた。
大学に入ってやめた遊び。
だけどもぉ、それ以外に捌け口は見つからなくて。
瞬間、声に驚いて顔を向けた。
そこに立っていたのは、明るいブラウンの髪の毛を綺麗に巻き、
上目がちに俺を見上げる女。
「…誰?」
『あははっ!明日香よ!
さっき自己紹介したじゃない!』
“やっぱり聞いてなかったんだ!”と言って彼女は、クスクスと笑う。
どうやら、あの中に居た女のひとりみたいだけど。
『弘樹くんって、S高行ってた佐久間弘樹でしょ?』
何も言わない俺に、“明日香”と名乗った女は質問を投げかけてきて。
ため息を混じらせ俺は、足元に視線を落とした。
『M大とのコンパって言うから、あんまり期待してなかったけど。
まさか、佐久間弘樹に会えるとは思わなかった♪』
そう言って明日香は、嬉しそうに俺の腕に自分の腕を絡めた。
瞬間、フワッと香る甘いばかりの香水の香り。
『ねぇ、優等生なのに昔は相当遊んでたんでしょ?
有名だったわよ?
でも、何で大学入って大人しく―――!』
「うるさい。」
睨みつけ、体を反転させて壁に明日香を押し当てた。
驚いたように戸惑いがちに見上げる明日香の唇を、強引に塞いで。
「…俺、もぉ抜けるから。
アンタも来たいんなら来れば?」
言葉だけを残し、目を見開いたままの明日香を尻目にさっさと歩きだした。
甘ったるいほどの香水の香りが、鼻についたように残って。
早足で歩く俺の後ろから、小走りな明日香が靴音を響かせた。
大学に入ってやめた遊び。
だけどもぉ、それ以外に捌け口は見つからなくて。