こいのうた2

neige

ねぇ、じいちゃん。

そういえばあの日も
海はキラキラ
光ってて。

「キレイだね」って
言いながら
あの散歩道を
歩いたよね。

でもね、じいちゃんが
居なくなって…
初めて1人で歩いた
散歩道は、全然
キレイじゃなかった。

ねぇ、じいちゃん。

じいちゃんの家は
冬でも暖かくて

寒い日の
スープみたいに
ホカホカして

雪なんて
全く降らなかったよね。
でもね、じいちゃんが
居なくなって
初めて迎えた春。

舞う桜の花が
季節はずれの
雪みたいに
寂しく見えたよ…。

ねぇ、じいちゃん。

じいちゃんが
居なくなってから
一年がたちました。

でもね、まだ…
あの散歩道の
角を曲がれば、
「おーい!!」って
じいちゃんが
現れそうで…

すごく すごく
悲しくなるよ。


だけどね、
このまま引きずってたらじいちゃんに
怒られそうだから。

思い出にそっと
蓋をして。
歩いていこうと思うんだ。


最愛のじいちゃんへ。
まだまだ未熟な孫より。
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