裂果
もったいぶるなら、きっと難点が存在する。



「……ハイリスクですか」

『正解。ただし上手にやれば、透夜にとっても貴方にとっても、ハイリターンになる。聞きますか』

「聞きます」



つまりそれは、こちらの方法が正解である、ということだ。

生物のもたらす現象は、その生物にとって何か益のあるものなのだから。



『透夜と契約すれば、あっという間に紋様は消え、小さな刻印に変わります。それは二人のうちどちらかが死ぬまで、なくなることはありません』

「……ファンタジーみたいで驚いてます。つまり、一生残ると考えていいんですか」

『そうですね。ただ、この現象は相性の良い者同士でないと起こらない。一生付き合っていけると思いますよ』



三日よりも遥かに長いスケールを突き付けられて、天音は困惑する。

この状態に陥っているだけで非常事態なのに、一生分を巻き込んだ概念に触れなければならないのだ。



「メリットは」

『透夜は貴方を大切にする。そして、貴方は透夜の支えになる。貴方に危機が訪れれば透夜は貴方を全力で守り、貴方は透夜の傷を癒す力になる』

「どうして、そんなことが断言できるんですか」



人の心は移ろうものだ。

だから一生大切にしてもらえる保証など、どこにもない。

なのになぜ、竜也氏はこのことをメリットとして挙げるのか。
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