ありがとう
なんでこんな時間にあんなところにいるのか分からなかった。
嫌な汗がジワっと滲み出てきた。
物凄い速度で頭の中は回転し続け、彼は限界を超えるほど何度も足で地面を蹴りつけた。
水嵩はもはや橋すれすれだった。
いつあの『獣』に飲み込まれてもおかしくないその中にいる美咲を、信じがたい目で見据えた。
ただその一点だけを目指して走った。
一刻も早くその手を掴み、反対側へ駆け抜ける。
彼の頭の中には一瞬の間にその流れだけが何度も何度も繰り返されていた。