アイシング、マイラブソング
プレゼントを付けてみるとますます申し訳ない気持ちになり、素直に謝ることにした。



「千架…実は…ごめんね…。」


「あはっ、『実は』と『ごめんね』の間は何?」


「無いんだ…プレゼント」


「そんなこと。別にいいよ?」


「でも、俺うれしくて。だから申し訳なくなって」


「ふうん。あたしは悠に会えたから充分だけど」


千架はにこにこと僕の手を取った。



「じゃあ、夜道はコワイから送って?」



千架の優しさに心がふるえた。



「あたしワガママだねぇ」


「千架のワガママなら何だって聞ける!俺を使えるのは千架だけ!何でも言って!」


「ありがとう」


「ではお連れします、姫」


「うふふ。行きますか」


「ハイ!」



初めてのイベントデー。

千架にもらってばかりで、

けして成功とは言えないけれど。



―来年は絶対俺がリードするからね!



歩幅を合わせてあげながら

手袋ナシで千架と手を繋いで歩く。


澄んだ月が輝く聖なる夜に、鬼が笑ってもいいからと来年のことを心に誓った。
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