アイシング、マイラブソング
「悠?どうしたの?」


すごく昔の、
まだ片想いをしていた時にさわやかくんを見たあのときの劣等感がよみがえる。

そして全世界の千架の異性に対して、嫉妬と憤りの念が激しく渦巻いた。



「あれ、何者?」


「リュウさんは歌の先生だよ」


「やけに仲良かったね」


「え?」


「アイツのことも好きなの?」


「へ?何言ってんの?悠ってば、意味分かんない」



苛立ちは加速度を増す。



「何か、俺と居るより楽しそう。」


「そんな…」


「言い寄られたりするの?」


「ないわよ、そんなの」


「あったらついていくの?」


「…疑ってるの?」



千架の顔が険しくなった。

それを見ると、急に僕の勢いが衰えた。


「う…」


僕は完全に言葉を失った。



「ひどい」


「千架…」


「あたしが、どれだけ悠のこと好きだか分かってない」


「…分かってる」


「分かってない!分かってたら疑わない!信用ないんだ、あたしは」
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