アイシング、マイラブソング
着くやいなや、感想票というものを渡された。

発表する一人一人に対して意見を書くもの。

観客の言葉を参考にすることも、またひとつの勉強なんだろう。


5番目に
千架の名前を見つけた。


聴く前から僕は
評価欄に『文句なし!』と書いた。



会場は小ホール。


『小』と言っても、僕ならためらう舞台の広さ。

今から千架がここで歌うんだと思うと

こっちの方がムダに緊張した。


そんな気持ちは発表会が始まると同時に薄れ、

1番から4番まで
誰もみな甲乙つけがたいほど上手だった。


美和は「3番かっこいい!」なんて騒いでて。


とにかく、

いよいよ千架の番。
…という時。

どき どき


好きなアーティストのコンサート前みたいな高揚感が僕を支配する。



固唾をのんで彼女を待った。
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