アイシング、マイラブソング

【7―1】太陽の嘆き

「う~~~、さみー…」


思わず言葉に出るほど
この日はとても寒かった。


2月半ばのある平日。

僕はマフラーを鼻まで巻いて、ポッケに手を突っ込みながら祥と帰路についていた。


おとといまでは『3月下旬並みの気候』だったのに、昨日の天気予報は寒冷前線がやってきたと伝えていた。

学校から駅までの道のりですら厳しかった。



「こんなんじゃ勉強やる気しねえよ…」



祥がぼやく。

奴はまだ受験戦争真っ只中。

電車の中は
“結局頭に入らない”
という理由で参考書とかを見ないので
帰り道は束の間の休息時間のようだった。



「おい、あれ美和じゃねえ?」



駅前に着くと
美和が暖をとるためか小刻みに動きながら立っていた。


僕は少々気まずい思いがあった。


言い表しにくいけど、

美和は千架の親友だから

僕のことや千架の近況や

いろんな話を知っているんだろうし…。
< 215 / 271 >

この作品をシェア

pagetop