アイシング、マイラブソング

【8―2】後ろ姿

1時間経って戻ってくると、休日の早朝だけあって最寄り駅はまだ閑散としていた。

平日がせわしない分、皆のんびり過ごしているのだろうか。




「さて、行きますか」




千架の言葉に、一瞬体がぴくっと反応してしまった。




―これで最後か…




「悠…?」




気付くと千架の腕を掴んでいた。



体は一番正直だ。



“行かないで”と言ってしまったようなもの。



だが僕は焦って取り繕った。




「あ…がんばれよ」



「…ありがとう」



「俺もがんばるから」



「うんっ」




ぱっと離すと、

千架はおもむろに口を開いた。
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