アイシング、マイラブソング

【2―2】迷い

夏休みに入り、暑い日が続いていた。


その最初の土曜日、
午前10時の20分前。


僕は最寄り駅の前にいた。


朝のすがすがしい空気が太陽に熱せられてゆくところ。

こめかみからスーッと汗が流れる。

木陰で暑さをしのぎながら、
待ちぼうけをしていた。




相手は、藤堂千架。




ついに、

二人で遊ぶ日がやって来たのだ。



千架からの返信、
あれが始まりだったのだが…


あの後がいろいろ大変だった。


気が変わるといけないと思って最大限の注意を払いながらメールのやりとりをし、

待ち合わせの詳細を決めた。



オカンに試写会券を譲ってくれるよう交渉をするとき、恋愛映画だから「誰と行くの~」なんてニヤニヤされて気まずかった。
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