【長編】雨とチョコレート


「意味わかんねぇ・・・・」



そういうことじゃない。

そういうことじゃないんだ、しの!


俺が聞きたいのは、たとえゆりぴょんがほんとに俺のこと好きだとしても、それでなんでおまえと一緒に帰れなくなるのか聞きたいんだ。

なんで9年も一緒だったのに、急に帰りたくないとか、そういう・・・。



ブランコから立ち上がって、しのを見た。

けど、たぶん、俺はにらみつけてたと思う。



なんでわかったかって?


だって、今まで見たことない表情をみせたんだ。

しのの体が・・・肩が、手が、瞳がすっごく震えてたんだ。



でも、絶対に泣いたりしない。

そういう子だ・・・。


いつだって冷静で、俺とは正反対で。

感情に任せてしまうとき、いつもフォローに回ってくれてたのはしのだ。



「・・・ゆりぴょんが担任じゃなかったら良かったんだけどね」


睨みつける俺の目を捉えたのは、いつものしのの瞳。



「しの」

「・・・・・分かりづらいって言ってたっけ。
じゃぁ、今度こそちゃんと言うね。
まさか、れい君がこんなに怒ると思ってなくって・・・エヘヘ・・・」




「・・・・・・・・」



彼女はごめん、と笑う。

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