【長編】雨とチョコレート
それから、一個ずつしのが話し始めた。


後輩のことから。

ゆりぴょんのことから。

2年の授業のときからゆりぴょんが怪しかったこと。

補習期間の徹底的な職権乱用。

また最初から、順を追って。


そして、春休み中に職員室の前通ったら聞いてしまったらしい。

4組の担任がゆりぴょんだということを。

それで春休み中からいろいろ考えて、でも、きっと確定じゃない。

そう信じていたらしい。



「だからね、担任になったら、毎日顔を合わせることになるでしょ?
そしたら、私の身体が持たないよ。

だから、それを回避するためには、って休み中に考えてた。

あくまで保険のつもりだったんだけどさ」



まさか本当に必要になるなんて、思ってなかったわけじゃないけど、現実はつらいな。

そうつぶやいた。


これが、しのなりの答えだったんだ。


だよな。

3年だもんな。

ちゃんとたのしい思い出にしたいよな、最後の1年だもん。



「・・・・・・・・・・・怒鳴って、ごめん」


下を向いたまま謝った。

勢いで怒鳴ったことが恥ずかしくて、しのの顔が見られなかった。


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