【長編】雨とチョコレート
家について、門をくぐる。


玄関を開けたときに出迎えたのは奥寺(おくでら)だった。

奥寺には小さいころから世話になってる。
俺の兄貴分だ。

最近は敬語使って話しかけてくる。



「お帰りなさい、坊」

いつもと変わらず、にこりと出迎えられた。



ううううううう・・・・もう、だめだ。

涙が出そうだ。



「てらぁ・・・!!」



寺の顔を見るなり、情けない声を出してしまった。

頭の中が、しのでいっぱいだった。

あんなに好きだったしのに告白もできないまま、気がついたら日課が日課じゃなくなる日がきてしまった。



寺は黙って俺の頭をぽんぽん、と叩くと、そのまま居間に連れて行った。



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