【長編】雨とチョコレート
「坊は来てほしくないんですか?」

「そんなことない」


「じゃぁ、行きたくない?」

「・・・そんなことない」


寺の言葉に、俺はどんどんうつむいて、今じゃ足を抱えた状態で座ってる。


「はっきりしろ、とは言いませんけど、お嬢に気持ちを伝えて見たら・・・」

「うちのこと知ったらフラれるに決まってる」

「・・・・・」


これは、きっとそうだ。
うちのことを知ったら、しのは、俺から離れていってしまう。


幼稚園の友達がそうだったように。
近所の人たちがそうだったように。

母さんが、そうだったように。


< 66 / 248 >

この作品をシェア

pagetop