【長編】雨とチョコレート
「お前がやったんだろ」
「やってないよ」
「おまえ、世話すんの嫌で殺したんだろ?」
「ちがうよ」
園で飼っていたウサギが死んだとき、世話係になったばかりなのに疑われた。
園にはガキ大将みたいなのが一人はいる。
先生以外、そいつに逆らえない。
ガキ大将が『あのカラス白いな』って言えば、園児は『白い』といわざるを得ない。
こいつは、入園当初からこのバカっぷりを発揮してきていたんだろう。
だから、いまさら変わらない。
そんなの知らないから、ある日、つい言ってしまった。
確か、なにかを命令されたときだったと思う。
「自分でやれよ」
その一言が、ウサギ事件にまで発展した。