幕末陰陽師

┣叶わぬ大儀

そこは何やら城の近くの森林のようだった。






辺りには鬱蒼と生い茂る木々が不規則に並び、空の月はそれらで隠されてしまい、見えぬ。






虫の声と、どこか遠くから聞こえる獣の気配。
あとは混沌とした闇である。






主様は私の背から下りると、真っ直ぐどこかに向かって歩きはじめた。






私はいつもの人の身に近い姿に戻り、主様の後についた。

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