桜色の底



「優奈、絶対ほかに好きな人できたでしょ?」



友達の美咲にそう言われた。


いつもならテンパってばれるのに、平然としていられた。



夏休みだから、
先生が一番近い男だから。




先生が好きなのを認めたくなかった。




吹奏楽部の夏休みは悲惨だ。


男がいない。


だから、恋愛なんて夏休み中にほとんどの女の子が忘れてしまう。




私も、その中の一人だ。



美咲もそうだ。





こないだまでメールしてキャーキャー言ってたのに
なんだかそれも疲れたみたいで、いつも黙々と楽器を演奏している。


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