【短編】双子の憂鬱
「――――ゴメン」
そう言いながら、深々と頭を下げた。
「実は俺…蓮じゃないんだ。俺は笹本彗。蓮の弟」
ゆっくりと一言一言かみ砕くように話した。
キリキリと胸が痛む。
それは単なる騙したことへの罪悪感だけじゃないことには、俺自身、ちゃんと気づいてる。
「騙してゴメン。俺がこんなこと言う資格、ないかもしれないけど…もう一度、蓮に告白してやってくれないか?」
女の子が、「えっ?」と不思議がるように声を上げた。
うん…そうだよな。
「自分勝手なのは分かってる。けど…」
きっと君なら、大丈夫。
双子だからかな、蓮もこの子のことを気に入ると思うんだ。
……俺が、そうだったみたいに。