シンデレラと魔法使い
魔法

1

あれから数日――


話はとんとん拍子に進んでいる。


ルイ王子は優しく、いろいろなところに連れて行ってくれる。


もちろん、とても楽しい。


最近はやっと、お母さんの態度にもなれてきた。


お姉ちゃんたちは嫉妬心むき出しだが…


でも、私はなにか物足りなかった。


「置いていかれたのは私の心、か…」


ふっと自嘲的な笑みをこぼす。


恋愛小説なんか読むんじゃなかった。


物語の言葉が私に突き刺さる。


私は本をおき、ネグリジェに着替える。


まだ夜の九時。


前までなら掃除をしている時間だが、今はまったくしていない。


あの日以来、お母さんは家政婦を雇い、私は仕事がなくなった。


おかげで毎日暇でしょうがない。


「もう寝るか…」


私はベットに入ろうとした。




< 52 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop