見えないモノと、指の銃。

「先輩、何やってるんですか……」


視線に動けないままで数分。

黙ったままでいると、
三枝がやってきて、声をかけてきた。

物言いからして、
多分、いつも以上に酷いんだろう。
彼に見える、俺の風船とやらは。


「恨みとか縁って、撃てるか?」

「まあ、これなら……元は無関係ですし」

俺の頭から足までをひとしきり眺め、
うげっと言うような声を出しながらも、
大丈夫だと、三枝は言った。


彼が指で銃を形作り、
それを色んな方向に向けて撃った。

少し視線が消えると、今度は俺に。


数回撃たれると、
冷や汗も引いていった。


「変なモノ、買わないでくださいよ」

「……俺だって、買うつもりは無かった」


最近知った事だけど、
どうやら俺は影響されやすいらしい。

多分今のも、そういう事だろう。


体質みたいな物だと三枝は言う。

だけれどその表情が
何か違う事を思案しているようで、
他に何かあるのかと、俺は気が気じゃない。


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