キミ時間


一通りガラス細工を見たあと、あたしたちはご飯を食べて、公園に向かった。


もう、夜の9時過ぎだ。


あたしは、朝とはまた違ったそわそわをしている。


流れ星がたくさんと流れる今夜。


あたしは、少し緊張していた。


流星群なんて、生まれてはじめて見る。

それに、先輩と見れることがたまらなく嬉しくて。


「咲久はなんかお願いごとするの?」

「…あたしは、とくには。」


そういえば、流れ星に願い事なんてしたことないかも。


いつも星に夢中で、願い事をするのは忘れてしまう。


それに、これと言った強い願いもないしな…。


「………」


雪先輩はなにを願うんだろ。


「先輩は、願い事するんですか?」


「……、うん、するよ。

 好きな子が俺を見てくれますように。って」



へ……。


まっすぐと空を見つめる先輩。


その眼差しは真剣で、冗談を言ってるようには見えなかった。


「あ、流れ星…」


先輩の声で、あたしの視線は先輩から空にうつった。


たくさんの流れ星が次々と流れていく。


「すごい…」


先輩の声が耳に届く


あたし、こんな綺麗な星達に…。


「…咲久?」



あたし、最低だ。


ごめんなさい、先輩。










――あたしのほうを見てよ




――ダメになっちゃえ






汚い願いをした。








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