キミ時間

ぎくしゃく





―Kanna ―




また、朝が始まる。

憂鬱な朝が。

今日ほど嫌な日なんてないのに。





「栞奈、早くしないと大地起こせなくなるよ?」


のんびりと支度をしているあたしに向かって、ママは言う。

チラッとママを見てから、一つ頷いて出されたご飯を食べ始める。


「ねぇ、学校休みたいって言ったらどうする?」

「はっ!?熱でもあるの?」


驚いたような顔であたしのおでこを触ってくる。


熱なんてないけど。

でも、体がだるい。


あんなことを間近でやられては、会いたくもなくなるよ。


「熱はない、と。

 栞奈がそんなこと言うなんて、珍しいわね」


自慢じゃないけど、今までに学校を休んだことなんて一度もない。

だからママは珍しく心配してくれてる。

有り難いんだけど、面倒くさいことになりそうだから今回のことは話さないようにしなきゃ。


あたしは仕方なく、思い腰をあげて、鞄を掴むと家を出た。


向かうのは、もちろん大地の家。









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