精霊達の棲家
車の乗り降り、ベランダへの昇降、室内、ロフトへの階段昇降、テラス及びプラットフォーム・ステージ等への往来は、息子と娘の亭主の手助けで支障なく移動できる。
尚且つ低めの椅子を設え、左手の不自由さを凌げれば簡単な作業も可能であった。
夜はバーベキューで満喫した。
酒盛りは控えめだったが夜更けまで盛り上がっていた。
深夜テラスから鴨川の海岸方面を見ると、ささやかな夜景もまた趣深い。
長差街道に沿って点々と光の粒が散在する、市街と合流する辺りから光は広がり、やがて街の彩りの中に吸収される。
澄んだ夜空ではプラネタリウムと見間違う星空も、その日は夏靄のせいか星の輝きは朧でほとんど霞んでいる。
九月に入ったとはいえ蒸し暑い、時折そよぐ風は汗で湿った身体の熱をそぎ、一抹の涼を与えてくれる。
ただ何となく感覚が異なる、身体に受ける風の感触が妙に湿っぽく纏わり付く、過去には経験が無い不快さだ。
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