精霊達の棲家
朝靄がたなびく里山に人の気配がする。
むらの人達数人の声が近付いてくる。
愉し気に語らっているようであり、子供のはしゃぐ声も混じる。
今日は祭りの日らしい。祭りの法被を纏った父と子の親子連れであろうか。
「おーい ! オーイ !! 」
「助けてくれ !! 」
大声を張り上げるも全く気付かぬ様子である。
それどころか姿さえ眼中に無いようである。
何度も叫んだ、声を振り絞ったが状況は全く変化はない。
懐中電灯の光に眼が覚め、その先にはあの夜叉面があった。
発する言葉・回数・時間帯等はほぼ夢と同じ、夢現(うつつ)とはこんな状況の事なのだろうか。
前日よりは多少回数は減ったものの、その夜も大声で騒いだ事には変わりない。
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