氷狼―コオリオオカミ―を探して
矢は見事にそれた。


「ほら、ね?」

「次は左肩を狙え。こっちに来る奴だ。引きつけてから」


左肩?


「今だ!」


あたしは弦から手を離した。

矢が氷狼の左目に当たった。


「惜しい!」

チェイサーが舌打ちする。

「それがその弓を使った時のお前のぶれだ。修正してやる時間はないから、とにかく左肩を狙え」


「分かった」


もう一度左肩を狙ってうってみる。

今度は鼻先をかすり、氷狼が首を振って払った。


「もう一度! 頑張れ!」


何かがあたしの記憶をかすめた。
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